はじめに
当クリニックでは、一昨年より、腎臓リハビリテーションとして、運動療法による、腎機能の保存療法により、透析に至らないための保存療法を行っています。この両方による効果を医学的に確かめるための研究を並行して進めております。
今回、この医学研究のための臨床試験に参加して頂けるボランティア(薄謝進呈)を若干名募集いたします。
CPX(心肺運動負荷試験)によるAT(嫌気性代謝閾値)の測定とST(SpO2 threshold酸素飽和度性作業閾値)によるATの予測法
ヒトは全身持久力が高いほど健康度と生存率が高く、死亡率が低いことが多くの報告で明らかとなっています。体力を向上させる上で最も重要なことは、個人毎の目的に合った負荷でトレーニングを実施することであり、米国スポーツ医学会は、全身持久力を維持および増進させるためには、中強度運動を30分/日以上で、5回/週の頻度で実施することを推奨している。中強度運動のレベルとは、軽い運動から徐々に運動強度を増していったとき、有酸素系エネルギー供給機構から無酸素系エネルギー供給機構にエネルギー供給が切り替わる転換点として検出されます。この点を「嫌気性代謝閾値(AT:Anaerobics Threshold)」といいます。
ATは、年齢、性別、運動習慣、体格、疾病の有無などにより個人ごとに異なるため、個人毎のトレーニング負荷を正しく設定する為には、個人毎のATを正確に測定/評価する必要があります。現在、ATを測定するための検査は、心肺運動負荷試験(CPX:Cardiopulmonary Exercise Training)として呼気分析機器を用いた「呼気ガス分析法」を行うのが主流です。しかし、呼気ガス分析法は特殊な機器が必要なため、設備のある病院の循環器内科などでしか行えない検査となっているのが現状です。
そこで、先行研究を参考に、パルスオキシメータのみで簡単・安価・迅速かつ正確にATを予測できる新たな技術(ST測定法)を検討しており、その効果を検証する研究を行っています。
ボランティアの皆さんにお願いすること
ボランティアに応募して頂いた慢性腎機能障害の患者様には、CPX測定機器による測定とパルスオキシメータ(コロナ患者の酸素飽和度を測る機器として有名になりましたね)によるSTの測定をしていただきます。一定の条件を満たした方の測定値情報を提供して頂き、臨床研究に使わせていただきます。(薄謝進呈)
臨床研究の対象にならなかった方のデータも、そのまま運動療法のレシピとして、提示しますので、ご希望の方には当院にて運動による腎機能保存療法に進んでいただくことができます。
本研究を専門的に記述しますと、外来通院中の慢性腎臓病患者のうち基準を満たす患者を対象に、心肺運動負荷試験を受けてもらい、2種の測定方法(呼気ガス分析法、S-Slope法)により決定したATおよびSTに対応した運動強度の一致性と相関を検討する前向き観察研究であり、かつ、社会的に重要性の高い研究で、学術研究機関が研究対象者の権利利益を不当に侵害する恐れがない研究である。
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(文部科学省・厚生労働省・経済産業省 令和3年3月 23 日(令和5年3月27日一部改正))」に則り、倫理審査委員会で承認の得られた同意説明文書を用い、研究者が文書および口頭による十分な説明を行い、研究対象者の自由意思による同意を文書で得る。研究対象者等がデータの使用を希望しない場合、研究期間の途中からデータの使用取りやめを希望する場合の窓口を明記し、同意撤回の機会を提供する。
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