1.腎臓リハビリテーションとは
腎臓リハビリテーションとは[腎疾患や透析医療に基づく身体的•精神的影響を軽くし、息切れや疲れやすさなどの症状を軽くし、生命予後を改善し、心理社会的ならびに職業的な状況を改善することを目的として、運動療法、食事療法と水分管理、薬物療法、教育、精神・心理的サポートなどを行う、長期にわたる包括的なプログラム」です。
最近では、保存期慢性腎臓病患者さんが、運動療法を中心とした腎臓リハビリテーションを行うことで、腎機能が改善したり、透析に移行するまでの期間が延長した、といった報告もあり、腎臓リハビリテーションの有用性が注目されています。
2.腎臓リハビリテーションの効果
リハビリテーションの中核を担う運動療法には、さまざまな効果が認められています。
- 持久力や筋力の向上:運動エネルギーを得るための酸素摂取量が増えたり、筋力が増加したりすることで、最大運動能力や持久力の向上が期待できます
- ADL(日常生活活動)およびQOL(生活の質)の改善:ADLは食事や入浴など生活するうえで必要な活動を、QOLは身体的、精神的、社会的活動における生きがいや満足度などを意味します。
- 腎機能低下予防効果(腎臓保護):保存期慢性腎臓病患者さんでは運動を行うことで、腎機能が改善するだけでなく、死亡率が低下するという報告があります
- 栄養状態の改善:保存期慢性腎臓病患者さんの約30~50%が低栄養状態(PEW:protein-energy wasting)に該当すると言われており、この改善が期待できます
- 心血管病の予防:慢性腎不全患者さんは心血管病を合併しやすく、最大の死亡原因です。心血管病を予防することで、死亡率が低下することが期待できます
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