紅麹コレステヘルプが直接の原因で腎障害になった症例

当クリニックに受診に来られた患者さんの症例をご紹介します。

患者さんは、これまで健診で高コレステロール血症を指摘された以外に異常はなく、内服薬投与歴もない49歳男性です。

経緯としては、健診結果を受けて2023年6月から1か月間、紅麴コレステヘルプを内服したところ、コレステロール値が230から180に低下したので、さらに2024年2月から再び内服していたところ、3月に「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収」の報道があり、内服を取りやめました。これまで、特に自覚症状はありませんでしたが、心配になって2024年4月にすがも腎クリニックを受診したものです。

検査では、クレアチニン、尿検査で異常は認められませんでしたが、尿生化学検査の結果、尿細管で低分子たんぱく再吸収障害が認められました。結局、男性は紅麴コレステヘルプに対する遅延性(4型)アレルギーによる急性尿細管間質性腎炎と診断されました。これが紅麹コレステヘルプが直接の原因で腎障害となった当院で初めての症例となりました。

薬物による急性尿細管間質性腎炎は、初期には影響を及ぼさないため、一般的な検査(検尿・血清クレアチニン)では、異常は認められないことから、放置されることが多く、重症化してから初めて発見され、命が危険にさらされる事例が多くなってしまいます。

今後、薬剤だけでなく、サプリメント・天然化合物においても一般的検査で異常を認めない腎機能障害が発症することも考えながら診療にあたる必要があります。

関連記事

  1. 当院河﨑院長がNスタ(TBS)に出演しました

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP